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2012.01.12 創作13
大山鹿子は奈良県生駒市の生まれである。鹿子は一条紀子とは相性一条紀子似たとこがあって、諍うとこがない。
一条紀子もまた、おっとりしていて、今様なサラリ~マンの性急さには周波がかみ合わない。店は昔からの常連が多く、まるで時代がさかのぼった様な感覚に襲われる。客筋も所謂、上流社会に続する老人が主でどこか緩やかなテンポが流れ、浮世離れがしている。
鳥居警部は店に入った瞬間、腰が引けたが、店の一番奥に鎮座ましましているママの方に歩んで行き、予め依頼しておいた鹿子との聴取の許可を得た。
店の奥、二坪ほどの控え室に鹿子を招きいれ、事情聴取を開始した。
「大伴さんは、何時頃から店へ来るようになったのですか」
鹿子は大きな目を一瞬見開き、一呼吸おいてから話し始めた。
「ええ、そうでしたね。確か、三年前だったかしら」
「誰かの紹介ですか」
「そうです。もう、亡くなってしまいましたが、藤原先生のご紹介でした」
「その先生は何時亡くなられたのですか」
「一年前です。ああ、亡くなったといっても、ご病気ですよ」
「・・・・・、それからは一人で、」
「ええ」
そう言って、鹿子は珍しく、上目使いになった。
それはそうだろう。短い間に親しんでいた人間が二人も亡くなっているのである。しかも大伴は殺されたのである。様々な感慨が去来したであろう。目の前の刑事が煩わしいのは自然の感情と言えた。
「誰かと諍いがあったとか。憎みあっている間柄が見られるといった出来事があるとかありませんか」
鹿子は鳥居警部をジイっと見つめてから
「大伴さんは優しい人です。喧嘩は愚か、声を荒げたこともありません」
「大伴さんの職業をご存知ですよね。あの仕事は激務ですよね。普通、自分達が出会った人たちは、飲むと感情が抑えられずに本音が出るものです。そんな時、諍いが起きます。人間ですからね」
「・・・・・でも、あの人はいつも穏やかでした」
「何が楽しみで飲みに来るのですかね」
と、カマを掛けたがそれには彼女は反応をせず
「私は絵を見るのが好きで、そうした話をするのですが、あの人は絵画にも精通していて、楽しそう会話してくれます。お客さんに蝶に引かれる人がいらっしゃるのですが、大伴さんはそんなことにも造詣があって、ウラギンヒョウモンと言う蝶が好きだと話しいあっています。あの人は趣味が広く話題に事欠くことにかきません。諍いなど見たことがありません」
「そうですか。その中で親しい人はいましたか」
「どうでしょう。大伴さん忙しい人ですから、店の外でのお付き合いはなかったと思います」
そう言って、鹿子は指の後ろでコツコツとカウンタ~を敲き始めた。すると、バア~テンの根本義男が顔を出した。
「刑事さん、そろそろいいですか。ご指名される方がお待ち名のですけど」
と、退室を促す。
時計を見ると、六時を少し回っていた。鳥居警部は「なるほど」と言って席を立った。
「また、窺うかもしれません」と依頼の言葉を残して、鳥居警部は店を出た。
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