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2012.02.13 創作」14
鳥居警部が素直に聴取をやめたのは、それなりに理由があったからである。
大山鹿子の尋問を控えたのは、予め店の様子を聞き取りをしていて、鹿子の聴取にあった蝶の採取の趣味のある客、堀木龍一が看板あけから遣ってくることが解っていたからである。前回の聴取は店の中での尋問だったので、彼も多分に他人を意識しただろうとの読みで、他人の目を意識しない話を聞きたかったのである。店へ行く数十米の曲がり角で堀木を待った。
六時半に堀木はやって来た。鳥居警部が声を掛けると、一瞬びっくりしたようだったが、直ぐに冷静さを取り戻して、「何か」と応えた。
「少し、そこの喫茶店でお話を聞きたいのですが」
そう聞くと、堀木は素直に「いいですよ」と答えた。
喫茶店はそれ程、客が入っていない。一番奥の席を選んで警部は話し始めた。
「あの時」
というのは事情聴取の時、堀木が言葉を選びながら、話していたのが少し気になっていたのである。
「いいえ、一寸、あなたが言いよどんだのが気になりましてね」
単刀直入に切り出すと、堀木は警部から目を逸らした。
「あることをお思い浮かべたんですが、事件とは関係ないと思い話すのをやめたのです

「そうですか。しかし、何とはない事が真実を含んでいることもあるのです。どういうことです」
堀木は暫らく考えているようだった。
「本当に関係のない話です。私は大伴さんとは店の中だけのお付き合いですが、温和な本当に人格者だと思っています。ただ・・・・」
「ただ何ですか」
「だから関係ないことなんですが、あの人は苺が本当に好きなのか、旬を越えても注文するんですよ。根本さんも苦労されていました。つまり切らさないように工夫していたのを知っていたので覚えているのですが、それを大伴さんはスプ~ンで潰すんです。まるで、仇に会ったように力を入れて潰すんです。それが大伴さんの普段とは落差があったので話そうかと思ったのですが、よく考えるとまるで関係がないし、印象の良くないことなので止めた。それだけのことです」
「確かに、直接そのことは関係はないと思いますが、犯罪は捜査とはひょんなところから、犯行にたどりつくこともあるのですよ。このお話も犯行に関わるかどうか解りませんが、お話し願ったことには感謝いたします。処で、堀木さんは蝶の採集がご趣味とか」
「ああ、お恥ずかしい。子供の頃に夢中で蝶を追ったことがあり、定年で遣ることがないので、健康を考えて再開したと言う訳です」
「そこで大伴さんと話があった」
「そうです。しかし、あの人には知識のせんでは適いません。店の客であらゆる話題も大伴さんに適う人はいないのではないかな。何から何まであの人は人並み以上です。人格と言い、知識と言い全部我々より優れています。羨ましい。嫉妬を覚えます」
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