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2013.10.22 砂上の楼閣。
秋も深まり、冬が寒気を齎してくる。病院の白壁は真っ赤な夕日が照り換えまるで血を塗られてているようであった。遠くにかすかに唸るようなサイレンが流れてくる。
杉並の倉沼病院の四階の病室には、今、担ぎ込まれた中年の男が苦しみ喘ぐ獣のような呻きを発していた。側には若い妻と小柄な背を丸めた老婆が、泣きはらした真っ赤の目でその男を見つめ、老婆は呟くように「悪しきを祓うて天理教の命」を繰り返し繰り返し唱えていた。妻は嗚咽して、喉の奥から搾り出すような苦悶の呪縛に似た声でのたうつ。小さな子供は事態がわからず、泣きながら母の袖を引いて母を怒らした。

昭和20年12月25日午後9時、縄目和夫は帰宅最中に米兵の二人組みの強盗に至近距離からピストルで撃たれ、永福町にある病院に担ぎ込まれたのであった。
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