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「履中紀」に目のふちに入墨をしたものが安曇目と呼ばれたとあるから、安曇の祖先に入墨をした者があったことが分かる。おなじ例で、「神武紀」には、大久米命が「さける利目」をしていた、とある。大久米部は薩摩半島いる久米部と関係があり、おそらくは隼人系の海人であったろう。
このことは、鹿児島県加世田市から「久米」と墨書した土器が出土していることからも確認できる。
(谷川健一・古代海人の世界)
「古事記」の解説。(次田真幸)
久米歌に盛んな戦闘意識がうたわれているのは、久米部が官延の軍事にたずさわっていたからであるが、一方久米氏は膳手(かしわで)としても奉仕したので、久米歌には膳手の職掌に関する事がらも歌われている。「久米の子らが粟生(あわふ)には」「久米の子らが垣下に植えし椒(はじかみ)」などは農耕に従事した体験にもとずく句であり、「伊勢の海の生石(おひし)に這ひもとふる細螺(しただみ)の」は、海人としての生活体験によった句と見ることができる。(これは天皇に安曇氏の膳手、芸能、軍事、農耕などが従事していたことと通じる)
隼人が八世紀以降、犬の遠吠え、隼人舞、天皇への守護などに従事していたのも、安曇氏の職掌と類似している。

この二つの文章は、私の神武東征の考察の低迷を払拭してくれた。
南九州系王朝説の私は、薩摩上陸の江南族である安曇氏が消え、隼人さえも東征の従軍にその名を現さない。当然、大陸から一つの勢力が渡来すれば、集団で渡来したと考えるのが自然で、たとえ神話として華昇されているとしても、従卒した臣下の存在も見られるはずである。それが南九州の伝承や神話にはニニギ命などの首長の神話は伝えられていても、臣下やそれを支える民衆の存在が見えない。史実的な説明を要する私には論壇を張ることができない。
神武東征の大きな要素には航海技術が必要であるのは言うまでもありません。それには江南から渡来した安曇氏の存在はなくてはならないものです。滝川政次郎教授の隼人説しか説明でいないのかと、悩んでいたところなので上の引用は私にとっては大いなる光明であった。
安曇氏は久米氏と名を変え、隼人が従軍した考えられ、南九州系王朝説が具体的に説明できることで前進できることは元気百倍である。
「古事記」に<楯並(たたな)めて、伊那佐の山の、木の間よも、い行きまもらひ、戦えば、吾はや飢えぬ、島つ鳥、鵜養(うかい)が伴(とも)、今助(す)けに来ぬ>とあり、この歌には隼人の鵜飼いが見えかいまみれしている。
神武天皇は久米部と隼人らの安曇一族を引きつれ、宇佐へ向かう。谷川健一が説くように、隼人系の海人族(私は安曇族となずける)の久米部は航海技術に優れていた。「古事記」の次田真幸の解説にあるように、久米部は海人族であり、膳手(かしわで)としての職掌は海に生きる海人であることは間違いないであろう。神武紀の久米歌からは、久米部が軍事ばかりではなく、農耕、芸能、漁労に従事し、鵜飼の民である隼人との関係も読みとれる。
これらから、考えられるのは安曇族を規程する要素そのものである。まるで久米部は安曇氏と言っているようなものである。

塩土老爺について
神武天皇は五瀬命と共に東征を決めるのだが、その助言者は塩土老爺であろう。南九州王朝の命運をきめるのは、正確で実行可能な情報を提供しなければならない。
「東に美(よ)き地(くに)あり、青山四周(せいざんよもめず)れり、その中に天磐船に乗りて飛び降(くだ)る者有り」と塩土老爺は言う。日本書紀からの抜粋であるが、この情報に基ずいて神武天皇は東征するわけである。いかにこの情報が信頼をおけるものであるか想像がつくであろう。
古代において、精度の高い情報を齎す部門といえば、海人であろう。海人族は船舶による交易で日本列島各地へと出かけてゆき、様々な情報を収集してくる。その情報を収集する頂点が海人族の首長である塩土老爺である。
海人には二種類いる。宗像海人と安曇海人である。宗像海人族は朝鮮半島を中心とする集団(誓約型)と江南に端を発する集団(禊型)・安曇海人族である。
私見では、「史記」に述べられている<徐市>伝承や春秋時代の各記述から、江南の呉越・秦の造船技術はかなり高度なものであるといえる。朝鮮半島のそれと比較すれば、技術の差は歴然としている。そのことを思えば、海人族の
頂点は安曇族の首長は塩土老爺であることに異存あるまい。

また、私が常ずね思うことは、塩土老爺の塩は海に関する文字で、土は山ないし陸に関する文字である。例えば、大山祇命もまた、大山は山に関係し、祇(つみ)は海に関係する言葉である。海幸と山幸もまた、海と山の関連説話である。山と海の対比こそ「記・紀」の物語の進行に大きな意味を与えているような気がしてならない。



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